本記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の国内企業の事例をご紹介します。
DXとは、企業がデジタルデータおよび技術を活用して、ビジネスモデルそのものを変革させることを意味します。
では、国内のDX事例についてご紹介してまいります。
株式会社LIXILは、建材製品を開発・提供している建築材料・住宅設備機器業界最大手の企業です。
LIXILが進めているDXは、事業を変革し、消費者の新たなニーズに応え、生産性や従業員エ ンゲージメントを向上させる役割を果たしています。
スマホ、PC、タブレットから、Zoom画面を通じてショールームコーディネーターと相談できるサービスにより、販売プロセスの効率化を推進しています。
インターネットを活用してユーザーが荷物の集配を遠隔管理できる「スマート宅配ポスト」やホームモニタリングシステム「GROHE Sense Guard」が新たに開発されています。
全社へのデジタルおよびIT戦略を一元的にリードするCDO(最高デジタル責任者)を設置や、セキュリティ・ガバナンスの強化など、広く多くの従業員がデジタル技術を使いこなせるような働きかけが行われています。
株式会社ニトリホールディングスは、製造物流IT小売業として、商品企画・物流・販売まで全ての機能がニトリグループ内で構築されています。
そしてそれは情報システムについても同様で、ITベンダーに頼らず自社で内製することで、スピード感をもってDXを推進しています。
ニトリでは、顧客に対して快適な購買体験を提供する施策が注目を集めてきました。
下記に、その一例をご紹介します。
2022年4月に、新会社株式会社ニトリデジタルベースを設立しました。
IT人材の確保のために、あくまで店舗を重視する本来のニトリとは違う、IT人材ならではの働きやすい環境などを用意していく狙いがあります。
また、ニトリグループのIT人材については、2025年に700人、2032年に1000人へと増員するとの計画も発表されています。
ニトリの物流部門を分社化して設立した株式会社ホームロジスティクスでは、ニトリの国内物流機能のすべてを担っています。
同社では、ロボット倉庫「AutoStore(オートストア)」を国内で初めて導入し、商品が自動で運ばれてくることでの作業者のコスト軽減、作業効率の向上、在庫面積の削減を実現しました。
こちらの倉庫は、「人に優しいロボット倉庫」としてグッドデザイン賞の受賞も果たしました。
ふくおかファイナンシャルグループは、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域に根ざした、 総合金融グループです。
同社は、DXについて
単なる業務のデジタル化ではなく、銀行内の業務プロセス・意思決定方法・顧客向けサービスなど、デジタル技術を活用してビジネスそのものを根本的に改革していくこと
と定義しています。
ふくおかフィナンシャルグループによって設立した「みんなの銀行」では、デジタルネイティブ世代のニーズに応えていくための取り組みをおこなっています。
こちらはいわゆる「スマホ銀行」として、一度も来店することなく、スマホだけで口座開設・入出金・貯蓄などすべて完結することができます。
さらに、アプリ内で作成できる「ボックス」を使うことで、欲しいもののための予算を分けておいたり、目的に合わせたお金の管理をおこなうことも可能です。
ユーザーが理想的に使いこなせる、新しいお金の管理が始まっていると言えるでしょう。
九州以外にも関東を中心に全国から利用者を集め、アプリのダウンロード数は、2022年8月時点で120万にも上りました。
ふくおかフィナンシャルグループでは、顧客である中小企業のデジタル化・DX化に向けた取組みをDXで支援しています。
具体的には、クラウド会計システムの導入や情報共有システムなど、自社のDXのみにとどまらず、地方創生・地域密着型金融の推進のため、中小企業の日常業務に活用できるデジタルサービスのプランニングまでおこなっています。
国内最多の病床数を誇る藤田大学医科病院(愛知県豊明市)では、「スマートホスピタル」への実現に向けた先駆的な取り組みがおこなわれています。
精緻な手術を行うことができる手術支援ロボットや、医師の処方箋に従って薬を自動で取り分ける調剤ロボットなど、同院では最新のロボット技術を医療へ活かされてきました。
また、2022年12月には、自律走行型ロボットによる配送業務自動化実証実験(最終)が予定されており、医療従事者の負担軽減、より質の高い医療の提供が期待されます。
ICT(情報通信技術)を用いて、院内における情報伝達効率化を図る脳卒中急性期診療支援システムTask Calc. Stroke(タスカル)を導入しています。
これにより、すべての院内関係者への一斉連絡や、検査などの進捗状況の同時共有ができ、迅速な治療を可能にしました。
DXを推進するにあたり、サイバー攻撃に備えたセキュリティ対策は必須と言えます。
同院でも、組織横断的な検討部会を作り、セキュリティ要件の再整理や、より実効性の高いセキュリティ対策への検討をおこなっています。
政府としても2022年6月7日、「医療DX推進本部(仮称)」を設置、医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を強力に推進する方針を打ち出しており、今後医療DXが活性化していくため、DX推進と表裏一体となるセキュリティ対策が必要です。
関西大学(大阪府吹田市)は、次世代社会に適合したスマートキャンパス構想をもち、DXを推進し、またそれらに対応したインフラ・環境整備にも力を入れています。
GSCでは、時間的・空間的制約を受けずに、関西大学の各キャンパスや海外連携大学の授業を配信・受講することができます。
プラットフォームと連動する主なアプリケーション
各種申請手続きのオンライン化により、学生の利便性向上、教職員の事務業務における負担軽減を実現させました。
関西大学では、学生の学習履歴や習熟度等を把握し、蓄積された学修記録を解析することで、一人ひとりに合った教育の実現を目指しています。
さらに、学修記録やキャリア支援など、さまざまなデータを収集および分析することで、学生支援につなげています。
株式会社トライアルホールディングス(福岡県福岡市)は、スーパーマーケットを中心とした小売業をメイン事業とする企業です。
九州を中心に店舗展開するトライアルは、スマートショッピングカートの自社開発をおこない、すでに85店舗、合計8200台以上(2022年8月18日時点)が導入されています。
「スマートショッピングカート」は、タブレット端末を搭載した買い物カートです。
付属のスキャナーで買い物客自らが商品バーコードを読み取ることで、通常のレジに行くことなく、キャッシュレス会計を済ませることができるのが特徴です。
また、カートの中に入れた商品に対して、AIがおすすめの商品をタブレット画面に表示したり、その場で使えるクーポンを配信する機能も搭載しています。
なお、スマートショッピングカートの導入には下記のようなメリットがあります。
また9月16日、トライアルホールディングスのグループ会社Retail AIは、東芝テックと共同プロジェクトを開始すると発表しました。
今後ますます、小売企業の店舗運営効率化、新たな買い物体験の創出を図るためのソリューションの提供がより活性化していきそうです。
DX化の事例を見ていて感じたのは、業務における負担軽減やデジタル化が最終目的ではなく、その削減された時間で可能になるサービスの向上や、新たな価値の提供が重要だということです。
自社におけるDXの進め方、新規事業を成功させる方法については、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
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