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2014年9月12日/ PDCA, スタートアップ,

スタートアップの失敗パターンから学ぶPDCAサイクルの正しいUX改善方法

こんにちは。クランチタイマーブログ編集部です。
今回は広島でWEB制作を営むウェブバイウーズ株式会社の薬師神裕樹さんにサービス改善のPDCAについて記事を書いて頂きました!

 

IT系スタートアップなど、インターネットサービスのローンチからサービスグロースまでの改善施策について解説しています。
サービスの企画や運営をされている方は必見の内容なので参考にしてみてください!

 

 

▼目次

  • スタートアップはとてもエキサイティング。だがそれだけではない
  • UXの追求がサービスの向上につながる
  • UX改善のPDCAサイクルにおけるコスト構造
  • PlanやDoではなく、本当に注力すべきなのはCheckとAction
  • MVPでPDCAサイクルも小さく設計する
  • コーラを売るか、コーラとコーヒーを同時に売るか
  • おわりに

 

スタートアップはとてもエキサイティング。だがそれだけではない

IT系スタートアップの新サービス立ち上げや、新規ウェブサービス、iPhoneアプリやAndroidアプリの開発など、とても刺激的でエキサイティングな環境にいる方は多いと思います。

夢と希望に満ちて新しい事にチャレンジし、または自分の可能性を信じて、突き進む姿というのはとても素晴らしいですよね。

 

私も今まで新サービスの立ち上げや、独自企画のサイト立ち上げ、アプリのUI開発などに携わり、今でもスタートアップのアプリ開発案件や新規サービスの立ち上げなどにアサインしていますし、回りにも刺激的なスタートアップの方達がいます。

しかし、夢を追う楽しい環境ばかりではありません。チャレンジにはリスクが伴い、たとえ人並みならぬ情熱を持って死ぬほど頑張ったとしても、必ず成功するとは限らないのがビジネスです。

 

私も過去にうまくいかなかった経験があった訳ですが、以前スクーというWeb上の授業サービスで、クラウドワークス代表の吉田浩一郎さんの講義「8ヶ月で会員1万人と、総額8億円を集めたUX改善」を聞いていて、とても共感出来たお話があったので、ご紹介したいと思います。

 

UXの追求がサービスの向上につながる

UXの追求がサービスの向上につながる

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?

ユーザーがある製品やシステムを使ったときに得られる経験や満足など全体を指す用語である。 ウェブ上での商品販売などソフトウェアやビジネスに関連して使われることが多いが、インタラクションデザイン全般に適用される概念である。

 

ホームページを通じてユーザーにどのような体験を提供するのかという観点で、そのUXを深く追求されているのがクラウドワークスです。

「1クリックで世界の仕事とスキルにアクセスを」という理念のもと、仕事を発注する人、仕事を受注したい人がそれぞれ快適にコミュニケーションするという体験を深く追求しています。

このUXというワードは、ウェブ業界でしばしば使われるキーワードで、例えばクックパッドであれば「毎日の料理を楽しくする」という体験をレシピを通じて提供するのが、クックパッドのUXとなります。

 

Amazonであればユーザーの買い物体験を如何に心地よく提供出来るかが焦点になりますがウェブサイトだけでなく、iPhoneアプリやAndroidアプリでも、そのアプリが提供するUXが追求されている時代です。

UXの向上にともなって快適にユーザーがサービスを利用できるようになると利益にも直結するので、サービスの運営側はUXの向上を追求していくことが重要視されています。

 

UX改善のPDCAサイクルにおけるコスト構造

UXの向上がサイトの成果に直結すると述べましたが、多くのスタートアップが失敗する、もしくはうまく立ち上がらない、といった王道の失敗パターンをUX改善のPDCAという観点からクラウドワークスの吉田さんがご紹介されていました。

 

クラウドワークスのUX改善からサービス収益向上のアプローチはとてもシンプルです。
ユーザーの分析を進め、サービスの収益向上における「KPI(key performance indicator=実益に繋がる重要な改善ポイント)」を1000パターンほどに絞りこみ、実際にサイトを触って使いにくいと感じた所、気になる所などをチケット化し、ひたすら改善しKPIの計測をしているとの事でした。

 

Checkのコストと重要性を良く理解しているからこそ、付随する機能を最低限に抑えコアバリューのみに絞る事で、計測ポイントを最小限にし(それでも1000もある!)、PDCAを加速させる事で会員数も増え、取引総額も伸びています。

 

おさらい。PDCAとは

P = Plan 計画
D = Do 実行
C = Check 検証
A = Action 改善施策

 

PDCAサイクルという事で(ピーディーシーエー、PDCA cycle、plan-do-check-action cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つを言います。

 

「Plan = 計画」や、計画した内容を構築する「Do = 実行工程」というのは、夢も膨らみ希望に満ちてテンションを上げて出来てしまいます。
そこには資金や労力をかけるモチベーションが高いケースが圧倒的ですが、実は上記の中で1番コストが発生するのは「C=Check 検証」フェーズになります。

 

PDCAのコスト構造

上図の左は機能が1つだった場合、右は機能が2つだった場合のPDCAのコスト構造を表しています。

 

PDCAはユーザー行動の膨大なデータに対して、何を基準にして、どこを改善したらどう実益に結びつくのか「KPI(key performance indicator=実益に繋がる重要な改善ポイント)」を見極め、一つ一つのデータを地道に改善していく作業で、多くの労力が必要ですし時間もかかります。

 

アナリティクスなどの定量的なユーザーデータだけを見て、使いにくさの要因となる仮説を立てて、そのポイントを検証することで定性的な仮説と照らし合わせてUX改善をし、KPI向上を計測して実益を計測します。
仮説の定義から検証のフェーズはどうしても労力が必要で、多くのコストがかかります。
そして、サービスを生み出す課程のモチベーションとは違った気力が必要になり、地味で根気のいる作業でもあります。

PlanやDoではなく、本当に注力すべきなのはCheckとAction

スタートアップでは、これら仮説と検証のフェーズにリソースが割けないケースが圧倒的に多いのが現状です。

資金力の乏しいスタートアップは「P=Plan 計画」と「D=Do 実行」だけにフォーカスしてしまって、その後が息切れしてしまったり、そもそも「C=Check 検証」と「A=Action 改善施策」は予算を組んでなかったり、気合でなんとかなる、というような、無計画なケースが多かったりします。

 

しかし、ここが大きな罠で、意気揚々とサービスを公開した次に待つのは、サービス運用の取り回しやユーザーのサポートです。
ただでさえ人手や資金が限られるスタートアップでは、それらの運用もギリギリで回す事が多かったりします。

結果的にサービスの向上に本当に大切なUX向上の「C=Check 検証」活動は後回しになってしまうか、もしくは全く取り掛かれないパターンで次第に疲弊していきます。

つまり、「P=Plan 計画」や「D=Do 実行」で燃え尽きてしまうパターンが多いのです。

 

これは簡単に例えるなら、登山をする際に山頂を目指し登りはじめたはいいが、山の状態や途中の天候のコンディション、自分たちの体調など登山の経過の考慮をせず、思ったより険しい事に気づいた時には、既に息切れしてしまって迷い、下山のルートさえもわからず遭難してしまうようなものです。

 

ウェブサイトやサービスはローンチ後にユーザーに利用され喜んでもらう事が本来の目的であり、開発期間よりもローンチ後の期間の方が長い時間をかけてサービスを運営していくことになるため、PDCAの改善サイクルを織り込んだスケジュールを設計すべきなのです。
しかし、開発キックオフ後、頂上まで問題無く登山できると考えてしまい、どう山を登るかといった「C=Check 検証」や「A=Action 改善施策」の具体的な考慮がされないケースが非常に多いのが現状です。

 

MVPでPDCAサイクルも小さく設計する

スタートアップはコアバリューに絞って、MVP(Minimum Viable Product)でスタートしろ的な事は良く言われますが、PDCAの視点から見ると、それは理にかなっています。
何故なら、最初からあれもこれもと夢の膨らみと比例して様々な機能や付加サービスをトッピングしてしまうと、Checkポイントも比例して増えてしまうからです。

 

二つの機能を付ければ、Check以降の工程が2倍に増える、と考えてしまいがちですが、Check以降の A → P → D のサイクルを回す中で、一つの機能には多数のKPIが存在する事を考えると2の3乗にも4乗にも増えます。
そして、KPIの見極め、実益の計測といったPDCAをループさせる負荷は、想像を遥かに超えてより複雑になり、計測ポイントも効果測定もぼやけてしまいます。

 

最悪なのは、うまくいかない原因がぼやけ過ぎてしまい、「一度にやり過ぎた」といったような総論に留まり、何が悪かったのかすら曖昧な結論になってしまう事です。
要因さえ掴めないので、改善のしようが無いですね。

 

スタートアップ時は、成功させたいという気持ちが強く、価値を高めたいという欲求が出てしまい、機能を減らす事がとても怖く感じます。
ただし、その気持ちこそコストとリスクを増やしているという事を忘れてはいけません。

一つの機能を追加する事に対する、Check以降のコストとリスクは、想像以上に大きくなる事を考えると、機能を追加する事は機能を減らす恐怖以上の覚悟が必要になります。

 

コーラを売るか、コーラとコーヒーを同時に売るか

コーラを売るか、コーラとコーヒーを同時に売るか

クラウドワークスの吉田さんがとてもわかりやすい例えとして、「コーラだけを売るか、それともコーラとコーヒーを同時に売るか」という事をおっしゃっていましたが、もし「コーラを売りたい」という考えでスタートしているなら、コーヒーには手を出さず、まずはコーラを売る事だけに集中すべきです。
そして、コーラを売る事が成功してから、コーヒーの事を考える方が良いでしょう。

 

「二兎を追うものは一兎をも得ず」これは真理です。

 

おわりに

私もこれまでの経験の中でうまくいかなかった事があり、それはそれで本当に貴重な経験をさせて頂いたのですが、まさにこのポイントがネックだったと痛感しています。
それから情報設計やWeb解析などの手法の必要性を痛感して学びました。

 

これから新規サービスやアプリを世に出そうと目論んでいる方々には、ぜひUXの重要性と、その改善手法としてのPDCAサイクルを意識して頂きたいと思います。
そして、PDCAのコストを考慮したビジネスモデル全体の設計をきっちりと行う事が重要です。

 

今回は「スタートアップ」というくくりで書きましたが、スタートアップだけではなく、一般的なウェブサイトやリアルのサービスでも同じ事が言えます。
そして現在、色々なプロジェクトにアサインさせて頂く中で、そういった面でもプロジェクトを支えて貢献出来ればと思っています。

UX改善やWeb解析、PDCAの導入や、新規サイト立ち上げなど、お力になれる事があれば是非ウェブバイウーズまでお気軽にお声かけください。

 

ウェブバイウーズ薬師神裕樹

ウェブバイウーズ株式会社 薬師神裕樹

2000年よりWeb制作に従事。ECサイト制作、ネットベンチャー、国内大手SIerと経験し、現在2014年6月ウェブバイウーズを創業。情報設計(IA:Information Architecture)やUX(User Xperience)といった、情報設計を専門に行う他、現状分析、Web解析、Web戦略をベースに、実成果を重視した戦略的なホームページ制作、運営支援を行う。

 

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